【短】俺の彼女泣かせたやつを八つ裂きにしようと思ってたら、なんと俺だった件。
スマホを返してから、ぶんぶんと首をたくさん横に振る。
ごめん、ごめんなさい、ごめんね。
ぜんぶぜんぶ勘違いだった。
「さようならって言われちゃったの、あれ悲しみの結多とおり越して絶望の結多だったからねほんと」
「ごっ、ごめんね…っ」
「ねえこのみちゃん。もしこのみちゃんが俺の隣に居てくれなくなったら、結多はどうなると思う?」
「え…、非行に……走る…?」
「あっは。そんな可愛いもんじゃねえわ。───死ぬかも」
「っ、」
これは本当なんじゃないかって。
結多くんはたまに、こういう顔をするときがある。
心の奥には私が想像もできないような、考えもつかないような気持ちを秘めているんじゃないかって。
ぞくりと、背筋が冷たくなった。
「俺、わりと黒いんだよ腹んなか。真っ黒」
「そ、そんな結多くんも……好き、だよ」
「…わかってないねえこのみちゃん。それ、俺みたいな男にいちばん言っちゃだめ」
焦らすように首筋に這わせてくる、唇。
そのまま、そのまま、噛られそうだと目をつむると、逆に甘く吸ってきた。