【短】俺の彼女泣かせたやつを八つ裂きにしようと思ってたら、なんと俺だった件。




ぶちっっ。


こんなにも勢いよく電話を切ったことなど、人生で初めてだった。


町で知らない女の子と楽しそうに歩く結多くんを見てから、学校でも少しだけ避けて生活するようになって。

今日は待ちに待っていたはずの、結多くんとふたりきりで過ごせるはずだった私の誕生日。


昨夜0時に来た電話に出ることもできず、《ごめんね。寝ちゃってたみたい》なんて嘘メッセージを送ってしまったのは早朝。


そしてメールを送ってすぐに電話がかかってきて、今である。



「このみー、じゃあお母さんたち行ってくるけど、火の元と戸締まりはきちんと確認すること、夜は出歩かないこと。
なにかあったら必ずメールか、できれば電話すること」


「…うん。楽しんできてね」



お父さんとお母さんをお見送りしてからの数分間は玄関に佇んでいた。


約束の時間は12時。

お昼は一緒に駅前のショッピングモールに食べに行って、そのあとケーキを買って帰って、夜はデリバリーを頼んでふたりでゆっくりする予定だった。



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