シンデレラは王子様と離婚することになりました。
第十一章 シンデレラの結末
「シンデレラは王子様と結婚して、幸せに暮らせ……ませんでした」
電気もつけず真っ暗な部屋の中で、布団を頭から被りながら、小さく呟いた。
自分のことをシンデレラといっちゃうなんて思い上がりも甚だしいとは思うけれど、数日前の私は、シンデレラみたいなキラキラした世界の中にいた。
素敵な王子様と結婚して、意地悪な継母とその娘からの虐めから逃れて、ずっと幸せに生きていけると思っていたのに。現実は、やっぱり、そんなに甘くないようだ。
「シンデレラは王子様と離婚することになりました。ちゃんちゃん」
物語の終わりが離婚で終わるなんて、なんて現代的なのだろう。
大翔は、離婚届にサインしたのだろうか。提出も終わっていたら、離婚成立だ。こうして布団にくるまっている間に、全てが終わっていくのだ。
目尻から涙が流れて、枕を濡らしていく。
どれくらい泣いただろう。身体中の水が全部涙となって流れ出てしまうくらい、ずっと泣いていた。もう泣き疲れて涙も出ないと思っていたのに、まだ涙は流れ出てくる。
もう、疲れた。全部疲れた。身体が重くて動きたくないのに、掃除や食事作りをしないと怒られる。
私の存在ってなんなのだろう。私はなんのために生きているのだろう。
(死にたい……)
強烈に湧き上がる負の感情。死にたいくらいなら、実家から飛び出て、大翔の元に行けばいいのに。自分でもそう思う。でも、できない。
まるで呪縛のように、私の行動は操られる。
昔からそうだった。嫌だと言って反抗すればいいのに、恐怖で身体が動かなくなる。そして結局言いなりになる。まるで、そうインプットされたロボットのように。
いっそ、私の感情なんて消えてなくなってしまえばいいのだ。そうしたら、悲しいことも悔しい気持ちも、そして、恋焦がれる感情も失って、楽になれるのに。
このままずっと眠っていたい気持ちを奮い立たせ、ベッドから起き上がった。
「食器、洗わなきゃ……」
夕飯は作っておいた。もう食べ終わって寝ている頃だろう。顔を合わせたくないので、彼らが眠ってから後片付けや掃除をするようにしている。
継母と継姉の私への執着心は恐ろしいものだった。自分たちが家の仕事をしたくないから、会社に通い詰め、従業員のランチ時の会話を盗み聞きして、私が社長と結婚したことを知ったそうだ。
電気もつけず真っ暗な部屋の中で、布団を頭から被りながら、小さく呟いた。
自分のことをシンデレラといっちゃうなんて思い上がりも甚だしいとは思うけれど、数日前の私は、シンデレラみたいなキラキラした世界の中にいた。
素敵な王子様と結婚して、意地悪な継母とその娘からの虐めから逃れて、ずっと幸せに生きていけると思っていたのに。現実は、やっぱり、そんなに甘くないようだ。
「シンデレラは王子様と離婚することになりました。ちゃんちゃん」
物語の終わりが離婚で終わるなんて、なんて現代的なのだろう。
大翔は、離婚届にサインしたのだろうか。提出も終わっていたら、離婚成立だ。こうして布団にくるまっている間に、全てが終わっていくのだ。
目尻から涙が流れて、枕を濡らしていく。
どれくらい泣いただろう。身体中の水が全部涙となって流れ出てしまうくらい、ずっと泣いていた。もう泣き疲れて涙も出ないと思っていたのに、まだ涙は流れ出てくる。
もう、疲れた。全部疲れた。身体が重くて動きたくないのに、掃除や食事作りをしないと怒られる。
私の存在ってなんなのだろう。私はなんのために生きているのだろう。
(死にたい……)
強烈に湧き上がる負の感情。死にたいくらいなら、実家から飛び出て、大翔の元に行けばいいのに。自分でもそう思う。でも、できない。
まるで呪縛のように、私の行動は操られる。
昔からそうだった。嫌だと言って反抗すればいいのに、恐怖で身体が動かなくなる。そして結局言いなりになる。まるで、そうインプットされたロボットのように。
いっそ、私の感情なんて消えてなくなってしまえばいいのだ。そうしたら、悲しいことも悔しい気持ちも、そして、恋焦がれる感情も失って、楽になれるのに。
このままずっと眠っていたい気持ちを奮い立たせ、ベッドから起き上がった。
「食器、洗わなきゃ……」
夕飯は作っておいた。もう食べ終わって寝ている頃だろう。顔を合わせたくないので、彼らが眠ってから後片付けや掃除をするようにしている。
継母と継姉の私への執着心は恐ろしいものだった。自分たちが家の仕事をしたくないから、会社に通い詰め、従業員のランチ時の会話を盗み聞きして、私が社長と結婚したことを知ったそうだ。