シンデレラは王子様と離婚することになりました。
私が幸せになり実家から逃げたという事実は、彼女たちの怒りを増幅させ、なにがなんでも私を実家に戻そうと画策していたらしい。
重い足取りでリビングに行くと、電気がついていた。
まだ起きているようなので、自分の部屋に戻ろうかと思ったけれど、話している内容が自分のことだったので足が止まった。
「捺美の会社、どうする? このまま無断欠勤続けていたらクビになるわよ」
継母の声だ。どうするって、お前が決めることじゃないだろうとムカムカした。
「もう別の会社に再就職させたらいいじゃない。介護職とか清掃業務とか人手不足だし、すぐに就職できるって」
継母の娘の声。じゃあ、お前が働けよ、いつまでニートを続けるのか。
フリーターだった継娘は、職場で嫌なことがあったらしくニートとなっていた。日中暇な時間を持て余し、私を見つけるために毎日会社に通い詰めていたらしい。
「バカね、年収が全然違うのよ。うちに入るお金も少なくなるでしょ」
私の給料は家に入れる前提で話がされている。私は、あんた達のために働いているわけじゃないのに。
「でもあの会社に戻ったら、また捺美がうちを出て行くかもしれないよ。あの会社、警備が厳重だし、次は捺美に会うこともできないかもしれない」
「そうね、見つけ出すまでに苦労したものね。やっぱり、捺美にはあの会社は辞めてもらって、また給料のいい会社に就職してもらうしかないわね。いくらか退職金も出るでしょうし」
勝手に決められている。私が、どんな思いで働いていたか知りもしないくせに。
たとえ社長と離婚して、社内に居づらくなったとしても、絶対に辞めない、辞めてたまるかって思っていたのに。
私が辞めないのは、あんた達に贅沢させるためなんかじゃない。私は、私のために頑張り続けていたのに。
腹の底から湧き上がる猛烈な怒りは頭の血を巡り、急に吐き気となって押し寄せた。
急いで洗面所へと走り、水を流す。吐こうとするも、出るのは唾液だけ。そもそも、まともに食事を取っていなかった。
顔を上げて鏡を見ると、目が怒りで真っ赤に充血していた。悔しくて拳を握りしめると、あまりに強く握ったためか、薄っすらと血が滲んできた。
全てを破壊したい衝動に駆られる。鏡を割り、物を破壊し、大声で叫んで消えてしまいたい。
でも、そんなことをしたら、お父さんが困る。血で滲んだ手の平を口に当てて、嗚咽が外に漏れないようにして泣き崩れた。
(助けて、助けて、助けて……)
いくら心の中で助けを求めても、誰も救ってくれないことは知っている。
重い足取りでリビングに行くと、電気がついていた。
まだ起きているようなので、自分の部屋に戻ろうかと思ったけれど、話している内容が自分のことだったので足が止まった。
「捺美の会社、どうする? このまま無断欠勤続けていたらクビになるわよ」
継母の声だ。どうするって、お前が決めることじゃないだろうとムカムカした。
「もう別の会社に再就職させたらいいじゃない。介護職とか清掃業務とか人手不足だし、すぐに就職できるって」
継母の娘の声。じゃあ、お前が働けよ、いつまでニートを続けるのか。
フリーターだった継娘は、職場で嫌なことがあったらしくニートとなっていた。日中暇な時間を持て余し、私を見つけるために毎日会社に通い詰めていたらしい。
「バカね、年収が全然違うのよ。うちに入るお金も少なくなるでしょ」
私の給料は家に入れる前提で話がされている。私は、あんた達のために働いているわけじゃないのに。
「でもあの会社に戻ったら、また捺美がうちを出て行くかもしれないよ。あの会社、警備が厳重だし、次は捺美に会うこともできないかもしれない」
「そうね、見つけ出すまでに苦労したものね。やっぱり、捺美にはあの会社は辞めてもらって、また給料のいい会社に就職してもらうしかないわね。いくらか退職金も出るでしょうし」
勝手に決められている。私が、どんな思いで働いていたか知りもしないくせに。
たとえ社長と離婚して、社内に居づらくなったとしても、絶対に辞めない、辞めてたまるかって思っていたのに。
私が辞めないのは、あんた達に贅沢させるためなんかじゃない。私は、私のために頑張り続けていたのに。
腹の底から湧き上がる猛烈な怒りは頭の血を巡り、急に吐き気となって押し寄せた。
急いで洗面所へと走り、水を流す。吐こうとするも、出るのは唾液だけ。そもそも、まともに食事を取っていなかった。
顔を上げて鏡を見ると、目が怒りで真っ赤に充血していた。悔しくて拳を握りしめると、あまりに強く握ったためか、薄っすらと血が滲んできた。
全てを破壊したい衝動に駆られる。鏡を割り、物を破壊し、大声で叫んで消えてしまいたい。
でも、そんなことをしたら、お父さんが困る。血で滲んだ手の平を口に当てて、嗚咽が外に漏れないようにして泣き崩れた。
(助けて、助けて、助けて……)
いくら心の中で助けを求めても、誰も救ってくれないことは知っている。