シンデレラは王子様と離婚することになりました。
ただ、やっぱりお父さんは私にとって特別で、血の繋がった肉親なのだ。捨てることなんてできない。
「体調はとても良くなった。捺美が戻ってきてくれたおかげだ」
私の問いに、お父さんはうっすら笑顔を浮かべて言った。
私が泣いているのを見ていたはずなのに、それには触れない。私の涙なんて、お父さんにはどうでもいいのかもしれない。
「そっか、それなら良かった」
力のない声で言った。私はお父さんになにを期待しているのだろう。
「ずっと家にいなさい。父さんが捺美を養うから」
「ずっとこの家に? 私の自由は? 幸せは?」
珍しく私はお父さんに意見した。嫌われたくなくて反論することさえできなかったのに、大事にされていないと感じて、思わず口に出してしまった。
「なにを言っている。お前の幸せはここだろ」
お父さんの言葉がショックで、しばらく声が出てこなかった。
「本当に、そう思っているの?」
震える声で訊ねる。すると、お父さんは真っ直ぐに私の目を見つめて言った。
「当たり前だ」
ああ、そうか。お父さんも、継母や継娘と一緒なんだ。
私のことなんて見えていない。ここが、私の幸せな場所だと信じて疑わない。どんなに私が辛く苦しんでいても、彼らは罪悪感さえ芽生えない。
彼らは自分たちが酷いことをしているなんて思いもしない。それが彼らにとっての常識で、正義で、生き方なのだ。なにを言ったって理解されることはない。
むしろ、幸せな場所を提供しているのに、なにを我儘言っているのだと私を責める思考に至る。
ああ、そうか。私はなにをお父さんに期待していたのだろう。
お父さんはもう、変わってしまっていたのだ。お母さんが死んだときに、優しかったお父さんもいなくなってしまっていた。わかっていたのに、ずっと気が付かないふりをしてきた。一人になるのが怖かったから。お父さんは私のことを愛していると思っていた。
もう、ダメだ。足元からガラガラと自分が崩れていくような錯覚。
もう頑張れない。私は一人だ。ずっと、ずっと前から一人だった。
終わりにしよう、なにもかも。頑張る理由がなくなってしまった。
「体調はとても良くなった。捺美が戻ってきてくれたおかげだ」
私の問いに、お父さんはうっすら笑顔を浮かべて言った。
私が泣いているのを見ていたはずなのに、それには触れない。私の涙なんて、お父さんにはどうでもいいのかもしれない。
「そっか、それなら良かった」
力のない声で言った。私はお父さんになにを期待しているのだろう。
「ずっと家にいなさい。父さんが捺美を養うから」
「ずっとこの家に? 私の自由は? 幸せは?」
珍しく私はお父さんに意見した。嫌われたくなくて反論することさえできなかったのに、大事にされていないと感じて、思わず口に出してしまった。
「なにを言っている。お前の幸せはここだろ」
お父さんの言葉がショックで、しばらく声が出てこなかった。
「本当に、そう思っているの?」
震える声で訊ねる。すると、お父さんは真っ直ぐに私の目を見つめて言った。
「当たり前だ」
ああ、そうか。お父さんも、継母や継娘と一緒なんだ。
私のことなんて見えていない。ここが、私の幸せな場所だと信じて疑わない。どんなに私が辛く苦しんでいても、彼らは罪悪感さえ芽生えない。
彼らは自分たちが酷いことをしているなんて思いもしない。それが彼らにとっての常識で、正義で、生き方なのだ。なにを言ったって理解されることはない。
むしろ、幸せな場所を提供しているのに、なにを我儘言っているのだと私を責める思考に至る。
ああ、そうか。私はなにをお父さんに期待していたのだろう。
お父さんはもう、変わってしまっていたのだ。お母さんが死んだときに、優しかったお父さんもいなくなってしまっていた。わかっていたのに、ずっと気が付かないふりをしてきた。一人になるのが怖かったから。お父さんは私のことを愛していると思っていた。
もう、ダメだ。足元からガラガラと自分が崩れていくような錯覚。
もう頑張れない。私は一人だ。ずっと、ずっと前から一人だった。
終わりにしよう、なにもかも。頑張る理由がなくなってしまった。