シンデレラは王子様と離婚することになりました。
ヘアメイクも終わり、豪華なティアラをつけてついに完成!

 スタッフの方も出払い、一人控室で待っていると、トントントンと外からドアを軽く叩く音が聞こえた。

「はい」

「俺だ、入っていいか?」

 社長の声だった。少し気まずい思いはあるけれど、断る理由もないので入室を受け入れる。

 ドアを開けた社長は、私の姿を見て息を飲んだ。

 私の方も、白のタキシード姿の社長があまりにも魅力的すぎて言葉を失った。

(王子様かよっ!)

 と心の中で絶叫する。完璧に整いすぎていて、眺めているだけで心拍数が激上がりだ。

「綺麗すぎて、隣に立つのが緊張するな」

 いや、それ、私のセリフですと返したい。

「人生の幸運を使い果たしたかな」

 それ、今、私も思った。
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