シンデレラは王子様と離婚することになりました。
「ひーちゃん、なんか嫌そうだね」

「家の中ではギリ許せるが、外では勘弁してほしい」

 大翔は顔を赤くさせながら、最大限の譲歩を見せた。

「いや、私は家の中でもきついわ」

「は?」

「呼んでみて思ったけど、イタいよね、高校生カップルじゃあるまいし」

「お前、俺で遊んだな?」

 ヤバい、バレた、という顔を浮かべる私に、大翔は私から目を据えたまま外そうとしなかった。

「いい性格してるじゃないか」

「ありがとう、褒め言葉として受け取っておく」

 なんだか嫌な予感がして後ずさると、大翔は逃がさないとばかりに私たちの間に挟まっていたクッションをどけて、一気に距離を詰めてきた。そして……。
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