シンデレラは王子様と離婚することになりました。
「きゃー、やめてぇ!」

 お腹や脇の下あたりをコチョコチョと攻撃してきた。くすぐったくて、思わずソファに横たわる。なおも攻撃の手を緩めない大翔は、私の上に覆いかぶさるような体勢になった。

 あれ、なんか、この体勢ちょっと……。

 気がついたら押し倒されるような恰好になっていて、大翔と目が合い、気まずい雰囲気が流れる。

 大翔は私をくすぐっていた手を止めて、じっと私の顔を見下ろした。

「捺美……」

 普段はお前呼びのくせに、こういう時は名前で呼ぶところ、ずるいと思う。心拍数が否応なしに上がっていく。

 だんだんと顔が近づいていく。どうしよう、これ、キスされる。
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