シンデレラは王子様と離婚することになりました。
目が泳いで、戸惑っている私を察して、大翔が優しく囁く。

「嫌か?」

 また、この質問。絶妙にズルい問いかけ。

「嫌……じゃ、ない……」

 嫌なわけじゃないけど、決していいわけでもない。でも、拒絶するわけでもなく、はねのけるわけでもなく、受け入れてしまう私もどうかと思う。

 大翔の目が閉じ、ゆっくりと唇に触れる。結婚式での儀礼的なキスではなく、感情のこもった温かく甘いキスだった。

 私も目を閉じて、長いキスを受け入れながら、溺れていく。
 

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