シンデレラは王子様と離婚することになりました。

おまけの後日談

 捺美が帰ってきた。最強な俺、復活だ。
 今なら世界を獲れそうな気がする。そんなことを言ったら、高城に仕事を増やされた。あいつは鬼だ、容赦がない。でも、捺美奪還に向けて尽力してくれたので、特別ボーナスを支給したら、目を輝かせて喜んでくれた。可愛い奴め。
 捺美が帰ってきてから、色々なことが変わった。
 まず、捺美のお父さん。正直、俺は捺美のお父さんは好きになれない。捺美の意思を自在に操るラスボス的な悪の存在だった。
 でも、どうやら彼も被害者だったらしい。捺美が死にたいと思うほど実家が嫌いで、長年苦しみ続けてきたということを知ったお父さんは、なんと行方不明になった。
 捺美のお父さんが行方不明になったと知った俺と高城は、慌てて探し出すよう探偵に依頼をかけた。
 また捺美の前に突然現れて、捺美に余計なことを吹き込んで連れ去られたら、たまったものじゃない。
 捺美にはお父さんが行方不明になったことは伏せ、秘密裏に探した。そして三ヶ月ほど経った頃、ようやく見つけ出した。
 こんなに時間がかかったのも無理はない。見つけた場所は九州の田舎町だった。住み込みで、大手工場の製造業をしていた。
 高城と二人で会いに行ったら、日焼けをし、筋肉もついて別人のような顔付きになっていた。最初は下働きが多く、肉体労働が主できつかったが、仕事ぶりが認められて現場リーダーに抜擢されたらしい。仲間もできて充実していると言っていた。
 だが、ここにいることは誰にも言わないでくれと頼まれた。捺美にも伝えるなと言われた。もう捺美を苦しめたくないのだと、悲しそうな表情で言っていた。
 捺美のお父さんはお父さんで、長年苦しみ続けてきたのかもしれない。
 お父さんに会う前に、捺美の継母と継姉と直接対決していたので、あいつらの異常さは骨身に染みている。言って理解してくれるような輩じゃないし、そもそも会話にならない。
 捺美のお父さんは、自分の人生を歩み出した。もう彼は捺美を傷つけたりしないと思った。いつか、捺美に教えてあげたい。お父さんは頑張っているよと。

 そして、捺美の継母と継姉だが、あれはなかなか手強かった。
 また捺美に接触してきたら大変なので、弁護士を引き連れて彼女たちと会った。
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