シンデレラは王子様と離婚することになりました。
あの桂木だぞ? とんでもないトラブルメーカーだぞ? 今まで以上に捺美が苦労するのは目に見えている!
俺は絶対反対だった。仲良くなる程度なら文句はないが、絶対に一緒に仕事したくないナンバー1だと俺は見ている。現に、辞めた営業事務の子も、桂木のあまりのトラブルの多さに精神的に滅入ってしまったらしい。
会社内でも桂木の処遇をどうするか悩んでいるのに、それに可愛い妻をあてがうのは反対だ。反対だったのに……。
捺美が『やる』と言ってしまった。捺美の性格上、『やる』と言ったら『やる』タイプだ。大変な状況だからこそ燃えるタイプだ。こうなるともう、やらせるしかない。案の定、とんでもなく大変だったようだ。
『佐伯さんの仕事量は多くて大変だったけれど、桂木さんは別の意味で大変。とにかく雑だしミスは多いし、事務じゃなくて秘書になっている』
連日残業続きで体調が不安だったが、だんだん慣れてきたのか早く帰れる日が多くなってきた。
『桂木さんの扱い方がわかってきた! トラブルになったら大変だけど、未然に防ぐことができるようになってきたの。それに、桂木さんってなぜかお金持ちに好かれるから、一回の商談の額がとんでもなく大きいのよ。だから多く当たらなくていい分、時間に余裕が出てきた』
と嬉しそうに語っていた。二人は正反対なのだが、それが上手く作用しているらしい。公私共に仲良くなってきて、捺美がどんどん明るくなっていく。最初はどうなることかと思ったが、いい方に転がっている。
さて、肝心の俺たちだが、もちろん周りが呆れるくらいのラブラブ夫婦だ。
夫婦だからってイチャイチャしてはいけないなんて誰が決めた。
俺は毎日「綺麗だね」って言うし、「愛しているよ」なんて甘い言葉も囁く。十年後も二十年後も毎日言うつもりだ。
たぶん捺美は『また言っているよ』みたいな冷たい反応をするだろうけれど、本当は嬉しがっていることを俺は知っている。あれは照れ隠しだ。
たまに甘えてきたと思ったら、マイペースでそっけない反応もする。猫のように気ままなツンデレ妻を俺は全力で愛している。
誓うよ。病めるときも健やかなるときも、君を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合って、命ある限り真心を尽くすよ。本当だ、嘘だと思うなら、俺にずっと付いてくればいい。人生を懸けてそれを証明するから。
愛している、捺美。
【完】
俺は絶対反対だった。仲良くなる程度なら文句はないが、絶対に一緒に仕事したくないナンバー1だと俺は見ている。現に、辞めた営業事務の子も、桂木のあまりのトラブルの多さに精神的に滅入ってしまったらしい。
会社内でも桂木の処遇をどうするか悩んでいるのに、それに可愛い妻をあてがうのは反対だ。反対だったのに……。
捺美が『やる』と言ってしまった。捺美の性格上、『やる』と言ったら『やる』タイプだ。大変な状況だからこそ燃えるタイプだ。こうなるともう、やらせるしかない。案の定、とんでもなく大変だったようだ。
『佐伯さんの仕事量は多くて大変だったけれど、桂木さんは別の意味で大変。とにかく雑だしミスは多いし、事務じゃなくて秘書になっている』
連日残業続きで体調が不安だったが、だんだん慣れてきたのか早く帰れる日が多くなってきた。
『桂木さんの扱い方がわかってきた! トラブルになったら大変だけど、未然に防ぐことができるようになってきたの。それに、桂木さんってなぜかお金持ちに好かれるから、一回の商談の額がとんでもなく大きいのよ。だから多く当たらなくていい分、時間に余裕が出てきた』
と嬉しそうに語っていた。二人は正反対なのだが、それが上手く作用しているらしい。公私共に仲良くなってきて、捺美がどんどん明るくなっていく。最初はどうなることかと思ったが、いい方に転がっている。
さて、肝心の俺たちだが、もちろん周りが呆れるくらいのラブラブ夫婦だ。
夫婦だからってイチャイチャしてはいけないなんて誰が決めた。
俺は毎日「綺麗だね」って言うし、「愛しているよ」なんて甘い言葉も囁く。十年後も二十年後も毎日言うつもりだ。
たぶん捺美は『また言っているよ』みたいな冷たい反応をするだろうけれど、本当は嬉しがっていることを俺は知っている。あれは照れ隠しだ。
たまに甘えてきたと思ったら、マイペースでそっけない反応もする。猫のように気ままなツンデレ妻を俺は全力で愛している。
誓うよ。病めるときも健やかなるときも、君を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合って、命ある限り真心を尽くすよ。本当だ、嘘だと思うなら、俺にずっと付いてくればいい。人生を懸けてそれを証明するから。
愛している、捺美。
【完】