シンデレラは王子様と離婚することになりました。
「重いんだけど」

「そうか、頑張れ」

 もはや大翔が社長であるということは、忘れ去られているのではないかと思う言動だ。忘れているわけではないのだけれど、私の中では、もう大翔は大翔だ。

「人の肩を背もたれにして、優雅にアイスとはさすがだな」

「うむ、くるしゅうない」

 大翔はふふっと笑って、再び書類に目を落とした。わがままも甘えも、全部許容してくれる。大翔といると、自分が自分でいられる。
 はぁ~、なんだろこの、胸の奥から湧き上がるあったかい気持ち。大翔の側は、居心地がいい。

「俺にもエネルギー補給させろ」

「ひゃああ」
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