シンデレラは王子様と離婚することになりました。
「あの日、どうして捺美と昼食を食べに出かけた?」

 まるで容疑者に対する質問のように、きつい口調で問う俺に、彼女は臆することなく答える。

「だから、さっきから言ってるじゃないですか。近くに美味しいお店があるって言ったら、あの子が行きたいって言うから、じゃあ一緒に行こうかって流れになったんですよ。社長夫人は、社長の許可がないとランチも行っちゃいけないんですか?」

「なんで捺美と話していた?」

「なんでって会話しちゃダメなんですか?」

「ダメとは言っていない。捺美は仕事と関係のない話はしないようなタイプだろ。どうして捺美と仲良くなろうと思ったんだ」

「仲良くなりたいとか、友達になりたいとかそういう目的で言ったんじゃないですよ。流れですよ、流れ。あるでしょ、そういうの」

 彼女の返答に、俺と高城は目を合わせる。
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