シンデレラは王子様と離婚することになりました。
「お店ではどんな話をしたのですか?」

「別にたいした話してないし、内容も覚えてないよ。ただ……」

「ただ?」

 高城の目が鋭くなった。俺も息を飲んで続きを待つ。

「食べ終わって会社に戻る途中に、捺美が呼び止められたんだ」

「誰に?」

「知らない。帽子を目深に被った女の人だった。たぶん、私たちと年齢はあんまり変わらないと思う」

「なんて言って呼び止められたんですか?」

「普通に『捺美』って……」

「それで、捺美さんの反応は?」

「最初はきょとんとしていたけど、誰なのか分かったら驚いてた。いや、驚いていたっていうより、怯えてた。顔が真っ青になったから」

 捺美が呼び止められたという女性に心当たりがあった俺は、やっぱりかと思った。

もしもその女性が俺が想像する人物だとしたら、捺美のいる場所は……。

「それで、その女性は捺美さんとどんな話をしたのですか?」
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