シンデレラは王子様と離婚することになりました。

「わからない。捺美の耳元で一言なにかを伝えたことは分かったけど、なんかヤバいかんじがして、すぐに引き離したんだ。そしたらその女の人は、すぐに去っていった。捺美に危害を与えようとしているかんじではなかったけど、捺美がその後震え出したから、逃げるように会社に戻ったんだ」

「なるほど。捺美さんはその女性のことをなんと言っていましたか？」

「聞いてない」

「え、青ざめて震え出したのに、あなたはなにも聞かなかったのですか？」

「だからだよ。なんか、ワケありなのかなと思ったからさ。言いたかったら、自分から言うだろうし。そういうの答えたくない時ってあるだろ」

　なるほど。捺美がおかしくなったのは、帽子を目深に被った女性と会ったからか。桂木は捺美の行方不明に関わっていないことがわかった。

「ていうかさ、あの帽子被った女、社長の元カノかなんか？ 結婚するならちゃんと過去の異性関係清算しとけよ！」

　桂木は怒りに満ちた目で俺を批判した。

捺美が傷付いているのが俺のせいと思って怒っているのだろう。