シンデレラは王子様と離婚することになりました。
 捺美になにがあったのか、おぼろげながら見えてきた。

 桂木とランチをしたあの日の防犯カメラ映像を入手した。会社の周辺を撮っていたものの中に、帽子を被った不審人物が写り込んでいた。

 奴は捺美を見つけるとおもむろに近付いていき、捺美の耳元で不気味になにかを囁いた。

 奴を見た捺美の顔は恐怖に怯えていて、捺美に危害が加えられなかったことが不幸中の幸いだ。

 さらに防犯カメラを調べたところ、その人物は毎日のように同じ時間帯に現れていた。

 ずっと、捺美が外に出てくるのを待っていたのだろう。とんでもない執念だ。

 帽子を被った女の顔は、俺が予想していた人物そのものだった。

 捺美の義理の姉、真由美。現在無職で、時間は山のようにある。

 実はこの人物、捺美との婚約が決まった時からマークしていた。

 捺美が急に家に帰らなくなり、困るのは義娘と義母だということはわかっていた。

 捺美は電話もメールもブロックしていたが、それだけで引き下がるような親子ではない。

捺美には知られないように徹底して隠していたが、義娘と義母が会社に乗り込んできたことは何度もある。
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