シンデレラは王子様と離婚することになりました。
 お父さんは、私がいなくなった後、全ての家事をやらなければいけなくなり、体調を崩していた。

 義娘がランチ後の私を見つけて駆け寄ってきたとき、

『お父さんが倒れた。あんたのせいよ』

 と耳元で言われた。

 心配な気持ちは当然あったけれど、だからといって実家に戻ろうと決断することはできなかった。

 実家から出ることが、私の最大の目標だった。それに、大翔という夫の存在もある。

 でも、私には関係ないと割り切ることもまた、できなかった。

 義娘の言葉は、いつまでも私の頭に残り続けた。仕事をしているときも、大翔と一緒にいるときも、いつも頭の中で義娘の嫌味な声が反復していた。

 義娘の言葉に負けて、引っ張られ、実家に戻ることは物事の解決にはならないと自分に言い聞かせていた。

 冷静に考えろと何度も自分を奮い立たせた。

 執拗なまでに追いかけて来る義娘の魂胆も腹が立ったし、ここで実家に戻ったら彼女たちの思うつぼだ。

 ……そう思っていたのに。
< 239 / 283 >

この作品をシェア

pagetop