シンデレラは王子様と離婚することになりました。
「これは交渉だ。ビジネスのように互いの利益を考えて契約しよう。俺は昨日までに結婚相手を決めなければいけなかった。それは、祖父の死期が迫っているからだ。生きている間に結婚式を挙げてほしいと懇願されている。結婚してくれるならば、深夜に仕事をして俺から逃げたことは水に流そう」
「それを出してくるのは卑怯じゃないですか? 職権乱用です。それにそれくらいで結婚を決められるわけないじゃないですか」
「まて、話はこれからだ。お前の望みはなんだ? 俺に叶えられることなら全力を尽くそう」
「私の望み……?」
社長は真剣な目で私を見つめた。
(私の望みは、あの家から出ることだ。でも……)
押し黙った私の欲望を引きだすような甘い声で社長は囁く。
「お金ならあるぞ」
まるで悪魔の囁きだなと思った。
離婚前提の結婚。死期が迫っているというのなら、そこまで長い結婚生活にはならないだろう。
でも、だからといってこんな怪しい申し出……。
俯いたまま黙る私に、悪魔はなおも続ける。
「それを出してくるのは卑怯じゃないですか? 職権乱用です。それにそれくらいで結婚を決められるわけないじゃないですか」
「まて、話はこれからだ。お前の望みはなんだ? 俺に叶えられることなら全力を尽くそう」
「私の望み……?」
社長は真剣な目で私を見つめた。
(私の望みは、あの家から出ることだ。でも……)
押し黙った私の欲望を引きだすような甘い声で社長は囁く。
「お金ならあるぞ」
まるで悪魔の囁きだなと思った。
離婚前提の結婚。死期が迫っているというのなら、そこまで長い結婚生活にはならないだろう。
でも、だからといってこんな怪しい申し出……。
俯いたまま黙る私に、悪魔はなおも続ける。