シンデレラは王子様と離婚することになりました。
 でも、実家に戻るということは、離婚することを了承したのと同じようなことだ。

離婚したくないのなら、実家に戻らなければいい。それなのに私は、実家に戻ってしまった。

 もう、覚悟を決めようと思った。そうして、離婚届に記入してテーブルの上に置いて、黙って家を出てきたのだ。

 そして今、私は奴隷のような生活に戻った。

 自分から天国から地獄へと降りたようなものだ。自分でも、どうしてそんな選択をするのかわからない。

 ただ、やっぱりお父さんは私にとって特別で、血の繋がった肉親なのだ。捨てることなんてできない。

「体調はとても良くなった。捺美が戻ってきてくれたおかげだ」

 私の問いに、お父さんはうっすら笑顔を浮かべて言った。

 私が泣いているのを見ていたはずなのに、それには触れない。

私の涙なんて、お父さんにはどうでもいいのかもしれない。
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