シンデレラは王子様と離婚することになりました。
「そっか、それなら良かった」

 力のない声で言った。私はお父さんになにを期待しているんだろう。

「ずっと家にいなさい。父さんが捺美を養うから」

「ずっとこの家に? 私の自由は? 幸せは?」

 珍しく私はお父さんに意見した。嫌われたくなくて反論することさえできなかったのに、大事にされていないと感じて、思わず口に出してしまった。

「なにを言ってるんだ。お前の幸せはここだろ」

 お父さんの言葉がショックで、しばらく声が出てこなかった。

「本当に、そう思っているの?」

 震える声で訊ねる。すると、お父さんは真っ直ぐに私の目を見つめて言った。

「当たり前だ」

 ああ、そうか。お父さんも、義母や義娘と一緒なんだ。

 私のことなんて見えていない。ここが、私の幸せな場所だと信じて疑わない。

どんなに私が辛く苦しんでいても、彼らは罪悪感さえ芽生えないんだ。
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