シンデレラは王子様と離婚することになりました。
 彼らは自分たちが酷いことをしているなんて思いもしない。

それが彼らにとっての常識で、正義で、生き方なんだ。なにを言ったって理解されることはない。

 むしろ、幸せな場所を提供しているのに、なにを我儘言っているんだと私を責める思考に至る。

 ああ、そうか。私はなにをお父さんに期待していたのだろう。

 お父さんはもう、変わってしまっていたんだ。

お母さんが死んだときに、優しかったお父さんもいなくなってしまっていたんだ。

わかっていたのに、ずっと気が付かないふりをしてきた。一人になるのが怖かったから。

お父さんは私のことを愛していると思っていた。

 もう、ダメだ。足元からガラガラと自分が崩れていくような錯覚。

 もう頑張れない。私は一人だ。ずっと、ずっと前から一人だったんだ。

 終わりにしよう、なにもかも。頑張る理由がなくなってしまった。

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