シンデレラは王子様と離婚することになりました。
顔を赤らめながら恥ずかしそうに聞くも、社長は私の言わんとしている意味がわかっていないようだった。

「妻としての役割? 家同士の集まりとか家事とかってことか? それは全く心配しなくていい。一切やらなくていい。ただ結婚してくれればそれでいいんだ」

「いや、あの、そうじゃなくて……」

 もごもごと口ごもっていると、運転手さんが助け船を出してくれた。

「夜のお勤めはどうするんですかって聞いているんですよ、社長」

 よ、夜のお勤めって、オブラートに包んでくれているけれど、それはそれで恥ずかしい響きだ。

 ようやく意味を理解した社長は、赤くなっている私を見て少し気まずそうに視線を逸らした。

「あ、ああ、まあ、それも、別に、無理強いするようなことじゃないからな」

「つまり、本当にただ、結婚さえすればいいってことですか⁉」

 私は目を輝かせながら、社長に詰め寄った。

 社長は戸惑いながらも、「あ、ああ」と肯定の返事をした。なぜか目が泳いでいる。
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