シンデレラは王子様と離婚することになりました。
「ちゃんとお前の部屋もある。ついて来い」

「私の部屋?」

 靴を脱いでスリッパに履き替えて、社長の後ろに続くと、玄関からわりと近いドアの前で立ち止まった。

「ゲストルームだ」

 社長が扉を開けると、私は驚きを隠せなかった。

ゲストルームは広々としていて、とても清潔感があった。シックで落ち着いた内装に、快適そうな大きなベッド。部屋の片隅には化粧台と小さな机、そして座り心地の良さそうな椅子も置かれていた。まるで高級ホテルの一室のような部屋に心が弾む。

「ゲストルームがあるんですか、社長の家!」

 興奮しながら中に入る。隅々まで綺麗でどこにも埃がたまっていない。

「まあ、社長だからな」

 それもそうか。しかも一流の大手企業だもんね。親もお金持ち持ちだし、別世界の住人だなあと思う。

「すごい綺麗ですね。社長って掃除好きなんですね!」

「俺じゃなくて、毎日ハウスキーパーが掃除してくれている」

 ホテルかよ、と心の中で突っ込む。

 そりゃ社長だもんね、社長自ら掃除なんてするわけないか。
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