シンデレラは王子様と離婚することになりました。
ヘアメイクも終わり、豪華なティアラをつけてついに準備は完成した。
スタッフの方も出払い、一人控室で待っていると、外からドアを軽く叩く音が聞こえた。
「はい」
「俺だ、入っていいか?」
社長の声だった。少し気まずい思いはあるけれど、断る理由もないので入室を受け入れる。
ドアを開けた社長は、私の姿を見て息を飲んだ。
私の方も、白のタキシード姿の社長があまりにも魅力的すぎて言葉を失った。
(王子様かよ!)
と心の中で絶叫する。完璧に整いすぎていて、眺めているだけで心拍数が激上がりだ。
「綺麗すぎて、隣に立つのが緊張するな」
いや、それ、私のセリフですと返したい。
「人生の幸運を使い果たしたかな」
それ、今、私も思った。
「……まだ、怒っている?」
なんの返事もない私に、社長はおずおずと私の機嫌をうかがうように言った。
どう答えればいいのか戸惑ってしまって、言葉を返せずにいると、社長が話を続けた。
「いいわけに聞こえると思うけど、本当に連絡が取れなかった。現地でトラブルに巻き込まれて、本気で死ぬかもと思ったくらいで。今、無事にここにいられることが奇跡だと思っている」
死ぬかもとは物騒な話だ。
「なにがあったの?」
思わず口を開く。
「長くなるから、今度ゆっくり話す」
「結婚したら、二人でいる時間がたっぷりあるから?」
私が言うと、社長は少し驚いてから嬉しそうな顔を浮かべた。
「そう、会えなかった分、これからはたっぷり一緒にいられる」
私が恥ずかしそうに笑顔を浮かべると、社長はゆっくりと近付いてきて、ヘアセットやウェディングドレスが着崩れないように優しく私を抱き包んだ。
「あ~、生きていて良かった」
心底安堵したような声だったので、命拾いしたというのは本当の話なのだろう。それなのに怒ってしまって、申し訳ない気持ちが芽生える。
契約結婚だというのに、なんだろう、この感情は。
スタッフの方も出払い、一人控室で待っていると、外からドアを軽く叩く音が聞こえた。
「はい」
「俺だ、入っていいか?」
社長の声だった。少し気まずい思いはあるけれど、断る理由もないので入室を受け入れる。
ドアを開けた社長は、私の姿を見て息を飲んだ。
私の方も、白のタキシード姿の社長があまりにも魅力的すぎて言葉を失った。
(王子様かよ!)
と心の中で絶叫する。完璧に整いすぎていて、眺めているだけで心拍数が激上がりだ。
「綺麗すぎて、隣に立つのが緊張するな」
いや、それ、私のセリフですと返したい。
「人生の幸運を使い果たしたかな」
それ、今、私も思った。
「……まだ、怒っている?」
なんの返事もない私に、社長はおずおずと私の機嫌をうかがうように言った。
どう答えればいいのか戸惑ってしまって、言葉を返せずにいると、社長が話を続けた。
「いいわけに聞こえると思うけど、本当に連絡が取れなかった。現地でトラブルに巻き込まれて、本気で死ぬかもと思ったくらいで。今、無事にここにいられることが奇跡だと思っている」
死ぬかもとは物騒な話だ。
「なにがあったの?」
思わず口を開く。
「長くなるから、今度ゆっくり話す」
「結婚したら、二人でいる時間がたっぷりあるから?」
私が言うと、社長は少し驚いてから嬉しそうな顔を浮かべた。
「そう、会えなかった分、これからはたっぷり一緒にいられる」
私が恥ずかしそうに笑顔を浮かべると、社長はゆっくりと近付いてきて、ヘアセットやウェディングドレスが着崩れないように優しく私を抱き包んだ。
「あ~、生きていて良かった」
心底安堵したような声だったので、命拾いしたというのは本当の話なのだろう。それなのに怒ってしまって、申し訳ない気持ちが芽生える。
契約結婚だというのに、なんだろう、この感情は。