シンデレラは王子様と離婚することになりました。
「嫌……じゃ、ない……」
嫌なわけじゃないけど、決していいわけでもない。でも、拒絶するわけでもなく、はねのけるわけでもなく、受け入れてしまう私もどうかと思う。
大翔の目が閉じ、ゆっくりと唇に触れる。結婚式での儀礼的なキスではなく、感情のこもった温かく甘いキスだった。
私も目を閉じて、長いキスを受け入れながら、溺れていく。
大翔との新婚生活は、なかなかに甘く、新鮮で、穏やかな中にも時に刺激的なものだった。なにそれ、一体どっちなの⁉ 全然わからない! と思われそうだけど、自分でもどう表現していいかわからないのだから仕方がない。
朝食を大翔は取らないので、自分の分だけ簡単に用意する。その横で大翔はとても美味しいコーヒーを淹れてくれる。大翔は世話好きで、私に甘い。大切な一人娘を溺愛する父親みたいに、適度な距離を保って見守ってくれているのがわかる。
高城さんが運転する車に乗って、二人揃って出勤。
私たちが結婚したことは社内の誰もが知っている。これまで陰口や嫌味を言ってきた女子社員たちは、逆に急に優しくなった。
「お友達になってください」
なんて言われた時には、吐き気がした。もちろん丁重にお断りして、一匹オオカミを貫いている。
佐伯さんは相変わらず鬼のように仕事を振ってきて、営業部長から注意を受けている。
「捺美さんは社長夫人なのだから、仕事量考えてよ」
と営業部長にたしなめられると、
「そんなの関係ないですよ」
と一刀両断していた。私の周りにいる人たちはみんな態度が変わってしまったけど、唯一普通に接してくれたのは佐伯さんだった。厳しいけれど、佐伯さんの下で働けて本当に良かったと感謝した。
その後、営業部長には私から佐伯さんに普通に接してもらってとても感謝していることを伝えた。
すると営業部長は、「え、そうなの?」と困惑していたが、受け入れてくれた。
社員が社長夫人になってしまって、一番扱いに困っているのは営業部長だと思う。その心労を考えると申し訳ないけれど、私だってこの仕事を辞めるわけにはいかないので、周りには気の毒だけれど慣れてもらうしかない。
私もめちゃくちゃやりづらいから、お互い様だと思うことにする。そう思わないとやってられない。
嫌なわけじゃないけど、決していいわけでもない。でも、拒絶するわけでもなく、はねのけるわけでもなく、受け入れてしまう私もどうかと思う。
大翔の目が閉じ、ゆっくりと唇に触れる。結婚式での儀礼的なキスではなく、感情のこもった温かく甘いキスだった。
私も目を閉じて、長いキスを受け入れながら、溺れていく。
大翔との新婚生活は、なかなかに甘く、新鮮で、穏やかな中にも時に刺激的なものだった。なにそれ、一体どっちなの⁉ 全然わからない! と思われそうだけど、自分でもどう表現していいかわからないのだから仕方がない。
朝食を大翔は取らないので、自分の分だけ簡単に用意する。その横で大翔はとても美味しいコーヒーを淹れてくれる。大翔は世話好きで、私に甘い。大切な一人娘を溺愛する父親みたいに、適度な距離を保って見守ってくれているのがわかる。
高城さんが運転する車に乗って、二人揃って出勤。
私たちが結婚したことは社内の誰もが知っている。これまで陰口や嫌味を言ってきた女子社員たちは、逆に急に優しくなった。
「お友達になってください」
なんて言われた時には、吐き気がした。もちろん丁重にお断りして、一匹オオカミを貫いている。
佐伯さんは相変わらず鬼のように仕事を振ってきて、営業部長から注意を受けている。
「捺美さんは社長夫人なのだから、仕事量考えてよ」
と営業部長にたしなめられると、
「そんなの関係ないですよ」
と一刀両断していた。私の周りにいる人たちはみんな態度が変わってしまったけど、唯一普通に接してくれたのは佐伯さんだった。厳しいけれど、佐伯さんの下で働けて本当に良かったと感謝した。
その後、営業部長には私から佐伯さんに普通に接してもらってとても感謝していることを伝えた。
すると営業部長は、「え、そうなの?」と困惑していたが、受け入れてくれた。
社員が社長夫人になってしまって、一番扱いに困っているのは営業部長だと思う。その心労を考えると申し訳ないけれど、私だってこの仕事を辞めるわけにはいかないので、周りには気の毒だけれど慣れてもらうしかない。
私もめちゃくちゃやりづらいから、お互い様だと思うことにする。そう思わないとやってられない。