シンデレラは王子様と離婚することになりました。
嫌がらせとはいっても、直接なにかをしてくるというわけではなく、たまに嫌味を言われる程度だったとのことだ。
それだけでも俺の中では腹がたって仕方がなかったので、部署異動させたり、捺美に関わらないように裏で手を回したりはしている。
社内で捺美のかげ口や悪口を言う者がいたら、こっそり手をまわして直属の上司から注意されるよう手配もしている。
それもこれも全ては捺美が快適に仕事をできるようにするためだ、と自分の行為を正当化させて報告書の続きを読んでいた目が止まる。
「おい、高城、これはどういうことだ?」
「ああ、夜の謎のミーティングの件ですね」
俺よりも先に報告書に目を通していた高城がなんでもないことのように言った。
ふざけてはいるがこの男、誰よりも仕事が早い。
「特に早急な会議が必要な仕事がなかったにも関わらず、ミーティングルームを使用していた。ちょっと怪しいですよね」
昨日帰ってくるのが遅かったのは、これが原因か?
「佐伯という男、仕事はできるが、何人もの営業事務の女の子が音を上げて異動を願い出たらしいじゃないか。パワハラか? それともセクハラか?」
俺が眉間に皺を寄せて、怒りの顔で報告書を読んでいるのに対して、高城は飄々としている。
「それについては、婚約が決定した時に散々調べ尽くしたじゃないですか。不愛想で仕事に厳しいところがあっただけで、佐伯さん本人に落ち度はなかったって。しかも捺美さんは佐伯さんの下で働いて良かったって上司に報告していたそうじゃないですか」
「じゃあ、なんで密室に入った。パワハラだろ、捺美の仕事に文句を言っていたのではないのか?」
怒っている俺を見て、高城は呆れたように言う。
「仕事の注意なら別にいいでしょう。社長夫人だからって全てが許されるような環境はいかがなものかと俺は思いますけどね」
ド正論すぎて何も言い返せない。
過保護で過干渉すぎている自覚はあるのでなおさらだ。
「佐伯って男に関していうと、気にするところはそこじゃないと思いますよ?」
「どういうことだ?」
「不愛想で仕事に厳しいけれど、女性社員の評価は高いのですよ。なんでだと思います?」
「イケメンだからか?」
佐伯の顔はもちろん確認済みだ。確かに男前だが、顔なら俺だって負けていない。
「顔がいいだけじゃないそうですよ。案外優しいところもあるのだとか」
それだけでも俺の中では腹がたって仕方がなかったので、部署異動させたり、捺美に関わらないように裏で手を回したりはしている。
社内で捺美のかげ口や悪口を言う者がいたら、こっそり手をまわして直属の上司から注意されるよう手配もしている。
それもこれも全ては捺美が快適に仕事をできるようにするためだ、と自分の行為を正当化させて報告書の続きを読んでいた目が止まる。
「おい、高城、これはどういうことだ?」
「ああ、夜の謎のミーティングの件ですね」
俺よりも先に報告書に目を通していた高城がなんでもないことのように言った。
ふざけてはいるがこの男、誰よりも仕事が早い。
「特に早急な会議が必要な仕事がなかったにも関わらず、ミーティングルームを使用していた。ちょっと怪しいですよね」
昨日帰ってくるのが遅かったのは、これが原因か?
「佐伯という男、仕事はできるが、何人もの営業事務の女の子が音を上げて異動を願い出たらしいじゃないか。パワハラか? それともセクハラか?」
俺が眉間に皺を寄せて、怒りの顔で報告書を読んでいるのに対して、高城は飄々としている。
「それについては、婚約が決定した時に散々調べ尽くしたじゃないですか。不愛想で仕事に厳しいところがあっただけで、佐伯さん本人に落ち度はなかったって。しかも捺美さんは佐伯さんの下で働いて良かったって上司に報告していたそうじゃないですか」
「じゃあ、なんで密室に入った。パワハラだろ、捺美の仕事に文句を言っていたのではないのか?」
怒っている俺を見て、高城は呆れたように言う。
「仕事の注意なら別にいいでしょう。社長夫人だからって全てが許されるような環境はいかがなものかと俺は思いますけどね」
ド正論すぎて何も言い返せない。
過保護で過干渉すぎている自覚はあるのでなおさらだ。
「佐伯って男に関していうと、気にするところはそこじゃないと思いますよ?」
「どういうことだ?」
「不愛想で仕事に厳しいけれど、女性社員の評価は高いのですよ。なんでだと思います?」
「イケメンだからか?」
佐伯の顔はもちろん確認済みだ。確かに男前だが、顔なら俺だって負けていない。
「顔がいいだけじゃないそうですよ。案外優しいところもあるのだとか」