シンデレラは王子様と離婚することになりました。
「優しいなら部署異動願い出ないだろ」
「それが、彼女たちが異動を願い出た本当の理由は、佐伯さんに振られたからだそうですよ」
高城はニヤリと笑った。
「は? そんな報告なかっただろ」
「最近新たに得た情報です」
「どうして俺に報告しない⁉」
「捺美さんに直接関わるような情報じゃないですからね。そこまで社長の耳には入れないですよ」
まあ、確かに、これは捺美とは関係のないことだ。佐伯という男が、モテすぎるがあまり不利益を被っていたことなんて不憫だなとは思うが、それが仕事に直接影響している様子はないので、俺が関わるようなことでもない。
「それだけ人気な男性と密室で二人きり。社長、強力なライバルの登場かもしれないっすね」
高城は片目を閉じてとびきりの笑顔を見せたので、俺は口を開けたまま青ざめた。
「……お前、頭いいけど性格悪いよ」
「よく言われます」
高城は飄々とした笑顔で言った。
生意気でムカつくけど憎めない、クソ。
報告書の内容が気になってしまった俺は、捺美が仕事するフロアに行ってみることにした。
なるべく目立たないように、捺美の仕事の邪魔にならないように、そっと仕事ぶりを覗き込もうとするも、すぐに周囲に見つかりザワつき始めた。
必死に静かにしろと、唇に人差し指を当ててジェスチャーで指示する。
そのフロアにいる多くの従業員は俺の存在に気がついたようだが、捺美は仕事に集中しているようで、まだ俺の存在に気がついていない。
遠くから見ても、すごい集中力というのがわかる。完全に周囲に壁を作り、自分の世界に入っている。
それにしても、遠くから見ても捺美は美人だなぁ。
大人びた美人ではなくて、可愛さもある美人だから、万人受けする顔だよな。
白い肌に抜群の透明感。昔から人気があったけれど、恋人がいなかったことを考えると、高嶺の花すぎて声が掛けられなかったのだろうなと思う。
まあ、これだけ分厚い壁を周囲に作ってきたのなら当然か。俺も声を掛けられなかったくらいだしな。
「あの、すみません」
「それが、彼女たちが異動を願い出た本当の理由は、佐伯さんに振られたからだそうですよ」
高城はニヤリと笑った。
「は? そんな報告なかっただろ」
「最近新たに得た情報です」
「どうして俺に報告しない⁉」
「捺美さんに直接関わるような情報じゃないですからね。そこまで社長の耳には入れないですよ」
まあ、確かに、これは捺美とは関係のないことだ。佐伯という男が、モテすぎるがあまり不利益を被っていたことなんて不憫だなとは思うが、それが仕事に直接影響している様子はないので、俺が関わるようなことでもない。
「それだけ人気な男性と密室で二人きり。社長、強力なライバルの登場かもしれないっすね」
高城は片目を閉じてとびきりの笑顔を見せたので、俺は口を開けたまま青ざめた。
「……お前、頭いいけど性格悪いよ」
「よく言われます」
高城は飄々とした笑顔で言った。
生意気でムカつくけど憎めない、クソ。
報告書の内容が気になってしまった俺は、捺美が仕事するフロアに行ってみることにした。
なるべく目立たないように、捺美の仕事の邪魔にならないように、そっと仕事ぶりを覗き込もうとするも、すぐに周囲に見つかりザワつき始めた。
必死に静かにしろと、唇に人差し指を当ててジェスチャーで指示する。
そのフロアにいる多くの従業員は俺の存在に気がついたようだが、捺美は仕事に集中しているようで、まだ俺の存在に気がついていない。
遠くから見ても、すごい集中力というのがわかる。完全に周囲に壁を作り、自分の世界に入っている。
それにしても、遠くから見ても捺美は美人だなぁ。
大人びた美人ではなくて、可愛さもある美人だから、万人受けする顔だよな。
白い肌に抜群の透明感。昔から人気があったけれど、恋人がいなかったことを考えると、高嶺の花すぎて声が掛けられなかったのだろうなと思う。
まあ、これだけ分厚い壁を周囲に作ってきたのなら当然か。俺も声を掛けられなかったくらいだしな。
「あの、すみません」