シンデレラは王子様と離婚することになりました。
「俺たち夫婦に愛がないって言いたいのか?」
佐伯を睨みつけながら言うと、佐伯は一切臆することなく言い放った。
「はい。逆に聞きますが、あなたたち夫婦に愛はあるのですか?」
痛いところを突かれて、一瞬固まった。
(こいつ、俺たちが契約結婚だって知っているのか?)
「ちょっと大翔! なに勝手に私のオフィスに来ているのよ!」
言葉を失っていた俺に、捺美が急に話し掛けてきて驚いた。
さっきまでデスクに座っていたはずなのに、俺たちの側に来ている。
「勝手にとはなんだ、俺の会社だぞ?」
「佐伯さんは忙しいのだから、仕事の邪魔はしないで!」
「いや、俺だって……」
「もういいから、恥ずかしいから早く行ってよ」
娘の授業参観に行って、娘の友達と話していたら怒られた父親のようだ。理不尽極まりないが、しかし怒れない。
「佐伯さん、仕事に戻りましょう」
捺美は佐伯の背中を押して、デスクに戻ろうと歩き出した。
(背中、俺も押されたい)
佐伯は満更でもなさそうな顔で、二人仲良くデスクに戻っていくから余計に腹が立つ。
なんで夫の俺が、ただの妻の仕事の上司に嫉妬しなければいけないのだ!
「だああ! もう腹立つ!」
社長室に戻り、大声を出して怒りを発散させていると、応接のソファに腰掛けながら優雅にコーヒーを啜っていた高城が口を開いた。
「なかなか勇猛果敢な男ですね。たとえクビになっても構わないという気迫を感じる。まあ、彼に会社を辞められたら困るのはこちらですけどね」
痛いところを突いてくる。たしかに佐伯の優秀さは疑いようもない。年齢が若いから課長だが、実際のところ営業部長よりも仕事ができるのは誰もが知っている。
「……あいつ、俺たち夫婦に愛はあるのかと聞いてきた。明らかになにかを知っている」
高城はコーヒーを置いて、興味深そうに食いついてきた。
「捺美さんが相談したのではないですか? 女が男に相談する時は、乗り換えようと思っている時ですよ」
「極端だよ、お前は! お前の周りはそういう女が多いのかもしれないけど、捺美は違うからな!」
佐伯を睨みつけながら言うと、佐伯は一切臆することなく言い放った。
「はい。逆に聞きますが、あなたたち夫婦に愛はあるのですか?」
痛いところを突かれて、一瞬固まった。
(こいつ、俺たちが契約結婚だって知っているのか?)
「ちょっと大翔! なに勝手に私のオフィスに来ているのよ!」
言葉を失っていた俺に、捺美が急に話し掛けてきて驚いた。
さっきまでデスクに座っていたはずなのに、俺たちの側に来ている。
「勝手にとはなんだ、俺の会社だぞ?」
「佐伯さんは忙しいのだから、仕事の邪魔はしないで!」
「いや、俺だって……」
「もういいから、恥ずかしいから早く行ってよ」
娘の授業参観に行って、娘の友達と話していたら怒られた父親のようだ。理不尽極まりないが、しかし怒れない。
「佐伯さん、仕事に戻りましょう」
捺美は佐伯の背中を押して、デスクに戻ろうと歩き出した。
(背中、俺も押されたい)
佐伯は満更でもなさそうな顔で、二人仲良くデスクに戻っていくから余計に腹が立つ。
なんで夫の俺が、ただの妻の仕事の上司に嫉妬しなければいけないのだ!
「だああ! もう腹立つ!」
社長室に戻り、大声を出して怒りを発散させていると、応接のソファに腰掛けながら優雅にコーヒーを啜っていた高城が口を開いた。
「なかなか勇猛果敢な男ですね。たとえクビになっても構わないという気迫を感じる。まあ、彼に会社を辞められたら困るのはこちらですけどね」
痛いところを突いてくる。たしかに佐伯の優秀さは疑いようもない。年齢が若いから課長だが、実際のところ営業部長よりも仕事ができるのは誰もが知っている。
「……あいつ、俺たち夫婦に愛はあるのかと聞いてきた。明らかになにかを知っている」
高城はコーヒーを置いて、興味深そうに食いついてきた。
「捺美さんが相談したのではないですか? 女が男に相談する時は、乗り換えようと思っている時ですよ」
「極端だよ、お前は! お前の周りはそういう女が多いのかもしれないけど、捺美は違うからな!」