シンデレラは王子様と離婚することになりました。
離婚を切り出したばかりなのに、デートしようとはどういうことだろう。
『また今度な』と言っていたから、今朝の話はなかったことにするつもりだろうか。
それにしては、大翔の様子が変だった。傷付いて怯える大型犬のような瞳をしながら、口元には微笑を携えている。
「いい……けど」
断る理由もないので、承諾したけれど、どこか居心地の悪さもあるので目線を逸らして言った。
大翔の顔が真っ直ぐに見られない。離婚しなければという強迫観念にも似た思いが、大翔への恋心に蓋をする。
私がこんなにも大翔を好きだなんて、本人は絶対に気が付いていないだろう。気が付かれてもいけないのだけれど。
大翔は私に向かってくると、私の手を取って強引に歩き出した。
社長室を出ると、非常階段を登り、屋上へと繋がる分厚い扉の鍵を開けた。
屋上は社員ですらも出ることを禁止されている。なぜなら屋上には何もなく、あるのは「H」のマークが表記されたヘリポートだけだからだ。
扉を開けると、突風と轟音が体を襲った。
「え! どういうこと⁉」
ヘリコプターが飛行の準備をしている。大翔は迷いなくヘリコプターに近付いていく。パイロットは操縦席に着いており、ヘリコプターの中から関係者らしきスタッフの方が出てきた。
「いつでも離陸可能でございます」
スタッフは恭しく大翔にお辞儀をした。
「急にすまなかったな。ありがとう」
いきなりのヘリコプター登場に驚きを通り越して固まっている私をよそに、大翔はヘリコプターの中に入ると、大きなバラの花束を持って出てきた。
「はい、プレゼント」
大翔は少し気恥ずかしそうに笑いながら、バラの花束を渡してきた。
「あ、ありがとう」
とりあえず受け取ったものの、記念日でもないのに、どうしてバラの花束をプレゼントされたのか意味がわからない。
「さあ、乗ろうか」
大翔が私の腰に手をあてエスコートするようにヘリコプターに誘導する。
「やっぱり乗るの?」
『また今度な』と言っていたから、今朝の話はなかったことにするつもりだろうか。
それにしては、大翔の様子が変だった。傷付いて怯える大型犬のような瞳をしながら、口元には微笑を携えている。
「いい……けど」
断る理由もないので、承諾したけれど、どこか居心地の悪さもあるので目線を逸らして言った。
大翔の顔が真っ直ぐに見られない。離婚しなければという強迫観念にも似た思いが、大翔への恋心に蓋をする。
私がこんなにも大翔を好きだなんて、本人は絶対に気が付いていないだろう。気が付かれてもいけないのだけれど。
大翔は私に向かってくると、私の手を取って強引に歩き出した。
社長室を出ると、非常階段を登り、屋上へと繋がる分厚い扉の鍵を開けた。
屋上は社員ですらも出ることを禁止されている。なぜなら屋上には何もなく、あるのは「H」のマークが表記されたヘリポートだけだからだ。
扉を開けると、突風と轟音が体を襲った。
「え! どういうこと⁉」
ヘリコプターが飛行の準備をしている。大翔は迷いなくヘリコプターに近付いていく。パイロットは操縦席に着いており、ヘリコプターの中から関係者らしきスタッフの方が出てきた。
「いつでも離陸可能でございます」
スタッフは恭しく大翔にお辞儀をした。
「急にすまなかったな。ありがとう」
いきなりのヘリコプター登場に驚きを通り越して固まっている私をよそに、大翔はヘリコプターの中に入ると、大きなバラの花束を持って出てきた。
「はい、プレゼント」
大翔は少し気恥ずかしそうに笑いながら、バラの花束を渡してきた。
「あ、ありがとう」
とりあえず受け取ったものの、記念日でもないのに、どうしてバラの花束をプレゼントされたのか意味がわからない。
「さあ、乗ろうか」
大翔が私の腰に手をあてエスコートするようにヘリコプターに誘導する。
「やっぱり乗るの?」