シンデレラは王子様と離婚することになりました。
 もはやなにを着たのかすら覚えていない。最後は、一番よく似合うと言われたロイヤルブルーのワンピースとそれに似合うネックレスやバッグ、そして靴までコーディネートしてもらい、それを着て帰ることになった。

 社長がいる奥の部屋へと入ると、社長は応接室のようなところで優雅にコーヒーを飲んでいた。

「おお、終わったか」

 社長は振り返ると、どこかの令嬢のような姿になった私を見て驚いた顔を浮かべた。

「いかがでしょう」

 店員さんが誇らしそうに私を手で指し示した。

「完璧だ」

 社長は満足そうに頷いた。

(いや、着せ替え人形じゃないんだから)

 と心の中で突っ込みつつ、内心嬉しかったりもした。こんな上質で素敵なワンピースを、ずっと着てみたかった。

どうせ似合わないからと諦めていたけれど、社長が『完璧だ』と言ってくれたから少し自信が持てた。
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