シンデレラは王子様と離婚することになりました。
  何着買ったかわからない洋服たちは、今日中に社長の家に届けられるそうだ。恐ろしくて値段は聞けない。たぶん、聞かない方が精神的にいいと思う。

 休憩がてらカフェでランチをして、そこからまた買い物。今度は化粧品や日用品、お皿など生活必需品を購入した。

 全部終わったら、夜になっていた。高級レストランでコースのディナーを食べて、飲み慣れないワインを飲んだらすっかり酔っぱらっていた。車は代行を頼むことにした。

「夜景でも見てから帰るか」

 なんて社長が言うから、いい気分になった私は、社長の腕を組んで、

「いいですね! 歩いて行きましょう!」

 とご機嫌に歩き出した。

 キャンドルが幻想的に灯る街並みの中を並んで歩く。私たち以外誰もいないので、とても気楽だ。
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