シンデレラは王子様と離婚することになりました。

第七章 離婚までのカウントダウン

 甘くて穏やかな日々は数週間続いた。

 隣に大翔がいることが当たり前になってきて、この日々がずっと続くかもって思っていたし、そう願っている自分もいた。

 でも、そんなことありえない。この結婚は、離婚ありきの契約結婚。終わりは突然に訪れる。

 ――大翔のおじい様が亡くなられた。

 お医者さんの診立ては、残酷なほどに正確だった。

 結婚式に来てくれて、あんなに喜んでいたおじい様が亡くなったことはショックだった。それと同時に、全てが音をたてて崩れていくようなそんな怖ろしさもあった。

 一報を聞いてからは、怒涛のような忙しさで、葬儀の準備に会社一丸となって取り組む。

 マスコミも駆けつけて、大翔のおじい様がいかに凄い人物だったのかがわかる。

 大翔は冷静に淡々と進めていた。でも、顔が真っ白で疲れているのがよくわかった。たった一人の肉親。どれほど深い喪失感なのか、私は想像することしかできないけれど、大翔にしっかり寄り添おうと思った。

 契約妻だけど、でも今はまだ、大翔の妻だ。妻として夫を支える。自分ができることを精一杯やり遂げよう。

 大規模な葬儀も全て終わると、大きな脱力感に包まれた。
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