ヒミツの王子様は隠れ歌姫を独り占めしたい
(なんだろう、さっきの……妙に意味深だったな)
授業中、私は先ほどの妹尾くんの言葉を思い出していた。
――来なかったら……わかってるよな?
と、そこで私はハッとする。
(もしかして妹尾くん、羽倉くんがKanataだって気付いたんじゃ……!?)
サーッと青くなる。
(まさか、それを皆にバラすつもり!?)
ちらっと羽倉くんの方を見るが、彼はいつもと変わらず眠そうに授業を聞いていて。
(まずいよ、羽倉くん……!)
――そして、漸く昼休みがやってきた。
「バレてる?」
いつもの場所で、私は隣に座る羽倉くんに先ほどの話を伝える。
「うん。あの意味深な言い方……もしかしたら知ってるのかもって」
「……そうかな」
「もしそうだったら、皆に言いふらすつもりなのかも!」
すると羽倉くんは小さくため息を吐いた。
「俺は別にバレたっていいけど」
「よくないよ!」
「なんで」
「だっ、……だって、もしバレちゃったら、羽倉くん人気者になっちゃうじゃん……」
視線を外しながら、ボソボソと小さく言う。