ヒミツの王子様は隠れ歌姫を独り占めしたい

「それはちょっと嫌かなって……きゃっ!?」

 いきなり抱きしめられてびっくりする。

「は、羽倉くん!?」
「そんな可愛いこと言うの、反則だから」
「え……?」

 羽倉くんは私の両肩を優しく掴んで、真剣な表情で告げた。

「昨日の続き、ちゃんと言わせて」

 どきりと胸が鳴る。

「俺、りっかのことが好きだ」
「!」

 彼は少し赤くなった顔で続ける。

「だから、俺だけのものになって」

 じわりと目の奥が熱くなる。

 ――この間と同じセリフなのに、こんなにも胸が満たされるなんて……。

「返事。聞かせて、りっか」

 少し不安げな羽倉くんに、私はゆっくりと大切に言葉を紡いでいく。

「わ、私も、羽倉くんのことが好き、です」

 湯気が出ているんじゃないかと思うくらいに顔が熱い。
 でも、ちゃんと言えた。

(言っちゃった~~!)

 恥ずかし過ぎて彼の顔が見れない。
 でも、羽倉くんからなんの反応もなくて。

「……?」
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