ヒミツの王子様は隠れ歌姫を独り占めしたい


「ご馳走様でした! 本当に美味しかった~!」
「お粗末さまでした」

 そう言って、羽倉くんはお皿を片づけはじめて私は慌てて止める。

「ちょっと待って! 片づけは私にやらせて!」
「え、いいよ」
「そのくらいはやらせて?」
「……じゃあ、お願いしようかな。エプロンそれ使って」
「うん!」

 さっき羽倉くんが着けていたエプロンをして、私はキッチンに立つ。

(なんかちょっと新婚さんみたい?)

 顔がにやけてしまいそうになるのを抑えて、私は食器を洗い始めた。
 と、そのとき急に後ろから抱きしめられてびっくりする。

「は、羽倉くん!?」

 危うく、シンクにお皿を落としてしまうところだった。
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