ヒミツの王子様は隠れ歌姫を独り占めしたい

「なんかいいな。凄く、そそられる」
「え、……んっ!」

 そのままキスされて、お皿を持つ手が震えた。
 唇が離れて、私は照れ隠しに文句を言う。

「お皿、落としちゃうから」
「んー。じゃあ、このままくっついてていい?」
「えっ、……い、いいけど」

 結局、私は羽倉くんに後ろから抱きしめられながらなんとか全部の食器を洗い終えたのだった。

「ありがとう、りっか」
「う、うん。あ、エプロンありがとう。ここに置いてい……!?」

 エプロンを外し、元あった場所に掛けようとしたときだった。
 ひょいっといきなり抱き上げられてびっくりする。お蔭でエプロンが床に落ちてしまった。

「ちょ、羽倉くん!?」
「お腹いっぱいになったら眠くなってきたし」

 そのままお姫様抱っこで運ばれ、辿り着いたのは先ほどちらっと見た部屋奥のベッドだった。

「……っ!?」

 羽倉くんは私を優しくベッドに下ろし、その上に乗り掛かってきて。

「一緒に寝よう、りっか」
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