ヒミツの王子様は隠れ歌姫を独り占めしたい
「そっか。そう、だよね……」
(……奏多くんが人気になればなるほど、こうして会える時間は減っていくんだ……)
「りっか」
「え? ――っ!」
顔を上げた瞬間、ちゅ、と軽くキスを落とされて驚く。
そして彼は言った。
「寂しい?」
「! そ、そんなこと……は……」
恥ずかしくて思わず否定しようとして、でも正直に頷く。
「寂しい、です」
すると奏多くんは眉尻を下げ嬉しそうに笑った。
そして優しく抱きしめられる。
「そう言ってもらえて嬉しい。俺も寂しいから」
「でも、応援してるからね!」
その背中に手を回して言う。
「ありがとう。……やっと、恩返しが出来そうなんだ」
「恩返し?」
顔を上げて訊く。
「こんな俺をKanataにしてくれた、うちの事務所の人たちに」
そして、奏多くんはゆっくりと話してくれた。