溺愛幼なじみは甘くて強引
「へ?」

「待ってるからね」


そう言い残して、去って行く足音。

その後すぐに、おばさんの小走りする音が遠くで聞こえた。


「もう理央ったら!ごめんね南月ちゃん。タオルもシャワーも、熱くなかった?」

「だ、大丈夫……じゃないです」

「えぇ!?」


放心状態になった私の頬を、ペチペチと叩くおばさん。


だって、おばさん……。あなたの息子さん、ヒドイくらい天然乙女キラーなんですもん。


振った相手に「可愛い」とか「俺の部屋来て」とか、平気で言っちゃうんです。


振られたのに、ずっとドキドキさせられるんですよ?ヒドイですよね。


でも――


「二人きりになれるのを楽しみにしてる私がいる……。往生際が悪い、見苦しい、泡になって弾けたい……」

「ちょ、南月ちゃん!?」


結局。

カットが終わるまで、私のドキドキは収まらず。理央のいう「似合ってる」長さにカットしてもらった私は、


コンコン


理央の待つ部屋へ、すぐに向かった。

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