溺愛幼なじみは甘くて強引
「ひぃ!」
「おいコイツヤベーよ、逃げろ!」


そして、私たちは路地裏から脱出できた。

路上に出る際。アリスちゃんは素早く、黒い袋をポケットにしまい込む。


「はぁ、はぁ……ありがとう、アリスちゃん……っ」

「そんな弱さで、今までよく生きてこられたね。すご」

「いやいや!すごいのはアリスちゃんだよ!私の命の恩人だよ~!」


ギュッと、アリスちゃんに抱き着く。「ちょっと離して!」とムキーッともがくアリスちゃんを、私は絶対に離さなかった。


「やっぱりアリスちゃんはすごいよ……、ありがとう!本当にありがとう、アリスちゃん!」

「な……、ちょっと、恥ずかしいからやめて。目立ってるから……」


アリスちゃんは人目を気にして、だんだんと小声になる。けれど尚も諦めてないのか、手のひらで私を押し返していた。

だけど、今、この時――二人とも無事な事が嬉しくて、幸せで。

私はアリスちゃんにくっついて、幸せを感じていたかった。
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