溺愛幼なじみは甘くて強引
――一方のアリスちゃんは、一人歩きながら「はぁ」とため息をついていた。
「私、なにやってんだろ……」
目を伏せて、トボトボ歩くアリスちゃん。頭の中には、私に言われた言葉がグルグル回っていた。
――今の私じゃ、やっぱりアリスちゃんに敵わない。どこをとっても、私が劣ってる
その言葉に、アリスちゃんは短く「ハッ」と笑った。
「敵わないのはどっちよ。負けてるのは、私のほうでしょ。
私にとっては”理央の心を手に入れる”ことが全てなんだから。
”それ”を手に入れてるあなたは、とっくの昔に勝ってるでしょ」
言いながら、ポケットの中に手を入れ、さっきの黒い袋を取り出す。
その袋の中にあったのは、握りこぶしくらいの白いクマのぬいぐるみ。