溺愛幼なじみは甘くて強引
「理央が”南月命”なのは、見ればわかるよ。その南月がナンパされたと知ったら、理央は私に”もう南月と一緒にいないで”って言いかねない。

そうなったら……”南月とずっと一緒にいる理央”とも、一緒にいられなくなるって事でしょ?

心から理央に拒絶された時。その時――私、立ち直る自信ないよ」


目に涙をためながら、アリスちゃんは下を向く。歩く度に、こらえきれない涙が、音もなく落ちていった。


「いっそ、南月がすっごく性格の悪い子だったらいいのになぁ……っ」


蘇るのは、ナンパしてきた男たちを撃退した時。私が、アリスちゃんに言った言葉。


――今度は、私がアリスちゃんを守るから!


その言葉が、私と喫茶店を共に過ごした思い出とともに蘇る。


「南月、ずっと笑ってたなぁ……。

そういえば、日本で誰かとあんな風に笑い合うのは、初めてかもしれない――」


アリスちゃんは、小学二年生の自分を、ふと思い出した。
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