溺愛幼なじみは甘くて強引
理央の色気にあてられないように、私は顔の前で腕をクロスし「ガード!」と謎のバリアを張った。

だけど――そんなもの、スイッチの入った理央を前には、何の役にも立たない。


「ダメだよ、今はもう諦めて」

「う……っ」

「俺は諦めたくないから、南月が折れて。

ダメ――?」

「~っ!」


理央に両腕をからめとられ、視界が開けた私たちの視線は、勢いよくぶつかった。

理央の瞳に、真っ赤な顔をした私が、ハッキリと写っている。

今、理央の顔を見ると……ダメ。恥ずかしくて、キスどころじゃないよ……っ。


「ダメだよ南月、こっちを向いて」

「ひゃう!」


顔を逸らした事で露わになった私の頬に、理央のキスが落ちる。チュッと、触れるだけのキス。

それ以上のキスが、果たして私に出来るの?――と、頭と目がグルグル回り始めた。


「り、理央……、ちょっと待って」

「ダメ。待たない。この前の勢いを思い出して」
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