溺愛幼なじみは甘くて強引
さっきよりも低い声のトーン。そして、優しい口調。太陽くんには珍しい雰囲気で、返事をした。

その時の太陽くんは、まるで太陽くんじゃないみたいだった。いつも教室で、皆に囲まれている太陽くんとは、全く別人に思えた。


「……アイツは笑顔で、誰を守ってんだろうね」

「理央?」


急に、理央がボソリと呟いた。

”笑顔で誰かを守る”――

それは、どういう意味なんだろう?


「また何かあったら、遠慮なく来てね。保健室の扉は、いつでも開いてるから」

「ウソばっかり~。水曜は閉まってんじゃないですか」

「事情があるのよ、色々ね」


言いながら、先生と太陽くんは、再び保健室を出て行った。どうやら、運ばないといけない荷物が他にもあるらしい。

パタンッ


「理央、今のうちに」

「……」

「理央?」
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