溺愛幼なじみは甘くて強引
そう思ったのは私だけじゃないらしい。

アリスちゃんも、太陽くんをドン引きした目で見ていた。心なしか、二人の距離が更に広がった気がする……。

だけど、そんな彼女の冷たい視線にも負けないのが、太陽くんだった。


「うん、こんなもんか!」


周りにいる女子を虜にしそうな、名前に劣らない眩しい笑顔を浮かべた彼は――なんと。

振った直後のジュースの蓋を、無謀にも、思い切り開けたのだった。


プシュッ


――その後は、ご想像の通り。

真っ白の泡が、蓋の隙間をぬって次々に溢れ出た。それは太陽くんの手を這った後、重力に逆らい地面に落ちていく。

灰色のコンクリートに、どんどん積まれる白い泡。私は狼狽えながら、その光景を眺めていた。


だけど……アリスちゃんは違う。


ペットボトルから流れ出る泡を、地面に零れていく泡を――ただ、ひたすらに眺めている。

その顔は、怒ってもなく笑ってもなく、無表情。だけど、どこか悲しそうな面持ちに見えた。


「ねぇアリスちゃん。今さ、俺しかいないじゃん?だから、心の中に溜まってるもん吐き出しちゃえば?」
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