溺愛幼なじみは甘くて強引
「私、このまま理央を好きでいて……いいのかな」


理央をとられたくない、頑張るって。何度も何度も、そう心に決めたけど。

アリスちゃんのこんな姿を見ると、その決心も揺らぐ。アリスちゃんの理央を好きな気持ちが痛いほど分かるから、余計に。


「気弱になっちゃダメ。ダメだぞ、私……っ」


顔をパンパンと叩いて、再び二人を見守る。アリスちゃんは、なんて返事をするのかな。


「ほら、早く」と手をブラブラさせる太陽くん。そして、その手を見つめるアリスちゃん。

そんな彼女がとった行動は――


「何言ってんの?これは、あなたの手でしょ?佐竹太陽」

「……え?」


驚いて振り向いた太陽くんの手を、アリスちゃんはペシンとはたく。


「あなたの言ってる事は分からないけど……今、私の目の前にいるのは、あなたでしょ?太陽」

「そう、だけど……。ってか、名前!」
< 157 / 252 >

この作品をシェア

pagetop