溺愛幼なじみは甘くて強引
「自分の気持ちに区切りをつけるために、クマちゃんとサヨナラしようと思って。こういうの”クヨウ”って言うんでしょ?」

「くま?さよなら?くよう?」


太陽くんの頭上に浮かぶ疑問符。一方のアリスちゃんは、さっき浮かべた笑顔を、再び曇らせていた。


「心からのお別れは、この方法しかないと思うから……」

「……」


言葉の続きを待っているのか。それとも、アリスちゃんがこっちを向くのを待っているのか――いや、太陽くんは、そのどちらでもなかった。彼は、何も待っていなかったのだ。


「貸して」

「え、あ!」


アリスちゃんからペットボトルを奪い、残りのジュースを全て飲み干す。「え!」とアリスちゃんが驚いた頃には、太陽くんは近くのゴミ箱に、ペットボトルを捨てていた。


「な、何してんの!?」

「アリスちゃんが辛気臭い顔してるから、気が逸れればなぁって思って。ダメだった?」

「だ、ダメに決まってるじゃん!」


飄々とした態度の太陽くんに、なぜかアリスちゃんは顔を赤くした。

その理由は――
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