溺愛幼なじみは甘くて強引
「うん!じゃあ、急ごう!」

「ちょい待ち」


グイッ

だけど太陽くんは私の腕を掴み、上から下まで眺める。そして、困ったように笑った。


「どうかした?太陽くん?」

「いや~南月ちゃんを”このまま”ってワケにもいかないからね。誰かに怒られそうだし」

「誰か?」


太陽くんは私の質問に答えない代わりに、鞄からタオルを取り出した。フワフワで、気持ちよさそう。

あ、それでスマホを拭くって事ね!
なるほど、応急処置なわけだ。


と思ったけど、どうやら違うようで。


何を思ったか、太陽くんは私の肩にタオルを掛けた。案外大きくて、私の上半身がスッポリと隠れる。こんな大きいの、よく鞄に収まってたなぁ。

って!違うちがう。


「太陽くん、なんで私?私じゃなくて、スマホを拭かなきゃ!」

「なんで?」

「な、なんでって……」
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