溺愛幼なじみは甘くて強引
スマホ、大事でしょ?
拭けば直るかもしれないし!

だけど、太陽くんは「いいよ」と。
ずぶ濡れの私を見て、頬を緩めた。


「スマホよりも、南月ちゃんの方が大事だから」

「え……」

「だから、風邪引かないでよ?ちゃんと拭くこと。いい?」

「え、あ……うん」


私が大人しく頷いたのを見て、太陽くんは「よし出発~」と、カラカラ笑った。

私よりも前を歩く太陽くん。

ウチまでの道が分からないだろうから、小走りで彼の横に並んだ。


「太陽くん、その……ありがとう」

「どういたしまして」


柔らかい笑顔の太陽くんに、つられて笑ってしまう。ずぶ濡れの二人が、穏やかにほほ笑み合っているサマは、少し不気味。


だけど、そんな私たちに一人の女性が駆け寄る。

そして観葉植物に水を上げようとして、誤って水を外にまいてしまった事を、何度も何度も謝ってくれたのだった。

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