溺愛幼なじみは甘くて強引
「大抵の人は、俺を優しい人って思う。だけど、そうじゃない。とにかくヒドイ奴だよ、俺は。

このココアと一緒。飲みきるまで、底に何があるか分からない。俺の腹の底なんて、見せられたもんじゃないけどね」

「えと、つまり……私が見てる優しい太陽くんは、本物じゃないって事?」

「そうかもね」


「フフ」と笑いながら、目を伏せてココアを飲む太陽くん。

何て返事をすればいいか迷った私の目に、さっき太陽くんが貸してくれたタオルが写った。


――スマホよりも南月ちゃんの方が大事だから


あの時、私にタオルを使うように言ってくれた太陽くん。その太陽くんも、偽物って事なのかな?うーん……。


「ごめん……よく、分かんないや。だって、私の見る太陽くんは、いつも優しいから」

「分からなくて良いんだよ。むしろ、分かっちゃダメ」
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