溺愛幼なじみは甘くて強引
『だとしたら、とっても嬉しい。ありがとうね、あの子と仲良くしてくれて。

少し前に父親と離れ離れになってから、あの子、休み時間に保健室に通うようになったから……。

表向きはニコニコしてるし授業にも出るから、一見なにもないように見えるんだけどね。

子供なのに、子供以上に、家でも学校でも気を遣ってるんじゃないかって。少し心配になっちゃうのよ。

だから、あなたみたいなお友達がいて、学校の昼休みや放課後に、楽しく笑い合えてたらいいなって――やだ、ごめんね。話しすぎちゃった』

「……いえ」


お母さんは「じゃあ、連絡ありがとうね」と切ろうとする。

だけど、それを制止したのは理央だった。


「あ、あの。太陽のお母さん。

俺と太陽は……友達、です」

『あら、そうなの!良かったぁ』


お母さんの嬉しそうな声を聞いて、理央の肩から徐々に力が抜ける。


「太陽からは、良い事も悪い事も。たくさん教わってますよ」

『あらあら、つまり悪友ね!』

「あ、悪友……」


苦笑を浮かべる理央。だけど、お母さんの「ありがとうね」という言葉で、再び引き締まった。
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