溺愛幼なじみは甘くて強引
「アリスが出国する前に、俺が渡したんだよね」

「……そう、だよッ。なんで、覚えてるのよ……っ」

「忘れるわけないよ」


俺は、クマのぬいぐるみを指先で撫でる。フワフワで、全く汚れていないぬいぐるみ。

俺と離れている間、アリスがどれほど大事に扱ってくれたのか――痛いほど分かった。


「小学生の頃、俺とアリスの友達の証として贈ったぬいぐるみ。本当に懐かしい、ずっと持っていてくれたんだね」

「あ、当たり前でしょ……っ」


忘れることも、捨てることも出来なかったんだから――


そう言って泣き崩れそうなアリスに、俺はポケットの中から、とある包みを出した。

花柄の包装紙に包まれた軽いソレを「受け取って」と、俺はアリスに差し出す。


「これは……?」

「開けてみて」
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